任意後見契約に公正証書は必要?手続きの流れや費用・必要書類を徹底解説!

  • 「任意後見契約を結びたいけど、公正証書にする必要があるの?」
  • 「公正証書の作成に必要な書類や費用、手続きの流れがわからない…」

上記のようなお悩みをお持ちではないでしょうか?

結論、任意後見契約は公正証書で作成しなければ無効となります。

なぜなら、「任意後見契約に関する法律」第3条において、任意後見契約を公正証書で締結することを法律上の要件と定めているからです。

とはいっても、急に公正証書で契約書を作成してくださいと言われてもご不安に思われる方が多いと思います。

そこでこの記事では、任意後見契約を公正証書で作成する際の手続きの流れや必要書類、かかる費用についてわかりやすく解説していきます。

任意後見契約とは?公正証書での作成が必須の理由

そもそも任意後見契約とは、将来、認知症などによって判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ自分が信頼できる人に財産管理や生活に関する手続きを任せる契約のことです。

契約を結んだだけでは任意後見は始まらず、実際に判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が生じます。

任意後見制度を利用することで、預貯金の管理や介護サービスの契約、医療費の支払いなどを、あらかじめ選んだ人に任せることができます。

そのため、自分の意思を尊重しながら、将来の生活や財産を守るための制度といえます。

公正証書での作成が必要な理由

前述の通り、任意後見契約は公正証書で作成しなければならないと、法律上明記されています。

任意後見契約に関する法律 第3条 (任意後見契約の方式)
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

このように、公正証書での作成が義務付けられているのには理由があります。

大きくな理由として、第三者である公証人が本人の意思能力と契約内容を確認することで、本人の真意に基づく契約であることが担保されることが挙げられます。

また、公正証書は原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクが排除されるという側面もあります。

任意後見契約の必要書類

任意後見契約書の作成にあたっての必要書類は以下のとおりです。

内容によって異なることもあるため、事前に公証役場に確認するとよいでしょう。

必要書類 対象者・内容
本人確認書類 本人・受任者の両方
運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き身分証明書。
印鑑登録証明書 本人・受任者の両方
実印によって本人確認を行う場合に必要です。発行後3か月以内のものを用意します。
戸籍謄本・抄本 本人のみ
本籍地の市区町村などで取得します。
住民票 本人・受任者の両方
住所を確認するために必要です。
契約内容のメモ・案 事前準備
任意後見人に任せたい財産管理や生活支援に関する手続き、報酬などを整理します。
その他の資料 必要に応じて
財産目録や診断書などを求められる場合があります。

※本人確認は、印鑑登録証明書と実印、または顔写真付き公的身分証明書と印鑑などの方法で行います。 両方を必ず用意するという意味ではありません。 受任者が法人の場合は、法人の資格証明書や代表者の印鑑証明書などが必要です。 実際の必要書類は、事前に公証役場へ確認してください。

任意後見契約書を作成する流れ

任意後見契約書を作成する流れは以下の通りです。

公証役場との調整や契約内容に不安を感じる方は、行政書士などの専門家に相談してみましょう。

手続きの流れ 内容
STEP1
契約内容の検討
本人と任意後見受任者で、財産管理や生活支援に関する手続き、代理権の範囲、報酬などを話し合います。
STEP2
公証役場への相談
公証役場に連絡し、契約内容や必要書類、作成日程について相談します。
STEP3
必要書類の提出
戸籍謄本、住民票、本人確認書類などを準備し、公証役場の案内に従って提出します。
STEP4
公正証書案の確認
公証人が作成した契約書案を確認し、代理権の範囲や報酬などに誤りがないか確認します。
STEP5
公正証書の作成
予約した日時に本人と受任者が公証役場へ出向き、公証人の確認を受けて任意後見契約公正証書を作成します。
STEP6
公正証書の受領・登記
公正証書の正本などを受領します。契約内容は公証人の嘱託によって東京法務局に登記されます。

※公正証書を作成しただけでは、任意後見は開始しません。 将来、本人の判断能力が不十分になった際に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が生じます。 また、公証役場によって事前準備や当日の手続きが異なる場合があります。

任意後見契約書の作成にかかる費用

任意後見契約書を公正証書で作成する場合、公証役場での費用は一般的に2万〜3万円程度が目安となります。

主な内訳は、公正証書の作成手数料13,000円、登記嘱託手数料1,600円、登記に必要な収入印紙代2,600円です。

これらの基本費用合計17,200円に加え、公正証書の正本・謄本の交付手数料や郵送料などが加算されます。

また、行政書士などの専門家に契約書案の作成や公証役場との調整を依頼する場合は、別途報酬が必要です。

なお、任意後見契約の締結時にかかる費用と、任意後見が開始した後にかかる費用は別です。

そのため、任意後見契約を検討する際は、公正証書の作成費用だけでなく、将来の任意後見開始後に必要となる費用も含めて準備しておくことが重要です。

任意後見契約のメリットとデメリット

ここまで任意後見契約に関して解説してきましたが、この契約にはメリットだけでなくデメリットも存在します。

メリットとデメリットの両方を理解し、自分の希望や家族の状況に合った制度かどうかを検討するようにしましょう。

任意後見契約のメリット
後見人を自分で選べる 家族や信頼できる専門家など、自分の希望する人を任意後見受任者に選べます。
契約内容を決められる 財産管理や各種手続きなど、任せたい代理権の範囲を事前に決められます。
将来に備えられる 判断能力が十分なうちに、将来の財産管理や生活に関する手続きを準備できます。
監督制度がある 家庭裁判所が選任する任意後見監督人によって、任意後見人の業務が監督されます。
任意後見契約のデメリット
費用がかかる 公正証書の作成費用に加え、任意後見開始後は監督人への報酬などが発生します。
すぐには開始しない 契約締結だけでは効力が生じず、家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必要です。
取消権がない 任意後見人には、本人が行った法律行為を後見人の立場で取り消す権限がありません。
事前の契約が必要 本人に契約内容を理解できる判断能力があるうちに締結する必要があります。
死後の手続きには対応できない 任意後見人としての代理権は本人の死亡によって終了するため、葬儀や死後の事務には別途備えが必要です。

任意後見契約と併せて検討したい制度

任意後見契約は、将来の判断能力の低下に備える制度ですが、この契約だけですべての手続きをカバーできるわけではありません。

以下の制度を組み合わせることで、ご自身の希望に沿うような生前対策をしましょう。

① 財産管理等委任契約

財産管理等委任契約は、判断能力が十分にある段階から、預貯金の管理や各種手続きなどを信頼できる人に任せる契約です。

例えば、判断能力に問題はなくても、身体が不自由になり、銀行や役所に行くことが難しくなった場合などに役立ちます。

任意後見契約と組み合わせることで、判断能力が低下する前から必要な支援を受けられます。

② 見守り契約

見守り契約は、定期的な電話連絡や訪問を通じて、本人の生活状況や健康状態などを確認する契約です。

任意後見契約を締結した後も、本人の判断能力の低下に周囲が気付かなければ、任意後見を開始するための手続きが遅れてしまう可能性があります。

見守り契約を併用することで、本人の変化を把握し、必要なタイミングで任意後見監督人の選任申立てを検討しやすくなります。

③ 死後事務委任契約

死後事務委任契約は、本人が亡くなった後の葬儀や納骨、医療費の精算、各種契約の解約などを、あらかじめ信頼できる人に依頼する契約です。

任意後見契約による代理権は、本人の死亡によって終了します。

そのため、亡くなった後の手続きまで備えたい場合は、死後事務委任契約を併せて検討するとよいでしょう。

④ 遺言書

遺言書は、自分が亡くなった後の財産を、誰にどのように引き継いでもらうかを決めておくものです。

任意後見契約は生前の財産管理などを目的とする制度であり、死亡後の財産の分け方を指定するものではありません。

そのため、財産の承継についても自分の意思を反映させたい場合は、遺言書を作成しておくことが重要です。

上記のように、任意後見契約とほかの制度を組み合わせることで、判断能力が十分なうちから、判断能力の低下後、さらには亡くなった後まで幅広く備えることができます。

ただし、すべての制度を利用する必要はありません。本人の希望や家族の状況、費用などを考慮して、必要な制度を選ぶことが大切です。

まとめ

任意後見契約は、公正証書で作成することが法律上の要件とされている重要な書類です。

将来、認知症などによって判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ自分が信頼できる人に財産管理や生活に関する手続きを任せることができます。

ですが、公証役場との調整や契約書案の作成など、慣れない手続きが多く円滑に手続きが進められないケースが非常に多いことも事実です。

そのため、手続きに少しでも不安を感じる方は、行政書士などの専門家へ相談してみるとよいでしょう。

且井行政書士事務所では、任意後見契約など生前対策に関する相談を無料で承っております。

「自分にあった生前対策がわからない」といった方はお気軽にお問合せください。

3問で確認!任意後見契約ミニクイズ

3問で確認!任意後見契約○×クイズ
第1問 / 全3問
第1問
任意後見契約は、本人と任意後見受任者が合意していれば、公正証書を作成しなくても有効に締結できる。

この記事を書いた人 Wrote this article

且井行政書士事務所

且井行政書士事務所

TOP