公正証書遺言の作成費用は?必要書類と作成の流れまで徹底解説!

  • 「公正証書遺言を作りたいけど、いくら費用がかかるか心配…」
  • 「作るための必要書類や流れがわからない…」

上記のようなお悩みをお持ちではないでしょうか?

公正証書遺言の費用は、遺産の額だけで一律に決まるわけではなく、財産を渡す人の人数、証人の手配、出張の有無、専門家への依頼範囲などで変わります。

この記事では、公正証書遺言の作成までの流れから、かかる費用・必要書類に関して分かりやすく解説していきます。

公正証書遺言とは|自分で書くのと何が違うの?


前提知識として、公正証書遺言とは何かを説明していきます。
公正証書遺言とは、自分で遺言書を作成するのではなく、公証役場で公証人が作成する遺言書のことをいいます。

自筆証書遺言が自分の手で書くのに対し、公正証書遺言は原則的に公証役場で作ります。2人以上の証人の立ち会いのもと、公証人がパソコンで作成し、遺言者が記載された内容で間違いないかどうかを確認して、最後に署名・押印をします。

原本は公証役場にて保管されるため、改ざん・隠蔽のリスクが少なく、高い信頼性があるといえます。
また、自筆ではなく公証人がパソコンで作成するため、書く手間がかからないというメリットもあります。

公正証書遺言の作成費用はいくら?総額の内訳と相場を解説


公正証書遺言の総額は、一般に公証役場へ支払う公証人手数料、証人への謝礼、必要書類の取得費用、正本・謄本の交付手数料から構成されます。
自分で原案や資料を準備し、公証役場で作成する場合は数万円程度に収まることもありますが、行政書士などの専門家に作成を依頼する場合には、別途専門家報酬が加わります。

そのため、専門家に依頼した場合の総額は、おおむね10万円から30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

なお、依頼するしないに関わらず、遺言の目的となる財産の価格が1億円以下の場合、公証人手数料に13,000円加算されます(遺言加算)。

費用を見積もる際は、遺産総額だけを見るのではなく、誰にどの財産を渡すのか、証人を自分で用意できるのか、公証人の出張が必要かを整理することが重要です。

費用 金額の目安 内容
公証人手数料 財産額により異なる 遺言によって財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る財産の価額をもとに計算します。
遺言加算 13,000円 遺言の目的となる財産の総額が1億円以下の場合、公証人手数料に13,000円が加算されます。
証人への費用 依頼先によって異なる 公正証書遺言の作成には、原則として証人2人の立会いが必要です。自分で証人を用意できない場合は、証人の紹介を依頼することで別途費用がかかることがあります。
必要書類の取得費用 数百円~数千円程度 戸籍謄本、印鑑登録証明書、登記事項証明書など、公正証書遺言の作成に必要となる書類の取得費用です。
正本・謄本等の交付費用 別途必要 公正証書の正本・謄本などの交付を受ける場合にかかる費用です。
専門家への報酬 依頼先によって異なる 行政書士などの専門家に、遺言内容の整理や必要書類の収集、公証役場との調整などを依頼する場合にかかります。

公証人手数料の計算方法


公正証書遺言の公証人手数料は、遺言により財産を取得する人ごとに、その人が取得する財産の価額を基準として計算します。


したがって、遺産総額が同じでも、1人に全財産を渡す内容と、複数人に分けて渡す内容では、基本手数料の合計が異なることがあります。

財産の価額 公証人手数料
50万円以下 3,000円
50万円超~100万円以下 5,000円
100万円超~200万円以下 7,000円
200万円超~500万円以下 13,000円
500万円超~1,000万円以下 20,000円
1,000万円超~3,000万円以下 26,000円
3,000万円超~5,000万円以下 33,000円
5,000万円超~1億円以下 49,000円

例えば、3,000万円を子1人に相続させる場合、基本手数料の目安は2万6,000円です。
一方、1,500万円ずつ子2人に相続させる場合は、各人についての手数料を計算して合算するため、同じ3,000万円でも費用が上がります。

以下にケース別の手数料額を記載しておりますが、財産額が大きい、受取人が多い、遺言内容が複雑といった場合は、事前に公証役場へ内容を伝え、概算見積もりを確認することをおすすめします。

ケース 財産の分け方 基本手数料 遺言加算 合計
ケース① 妻1人に
3,000万円
妻:26,000円

合計 26,000円
13,000円 39,000円
ケース② 妻:2,000万円
長男:1,000万円
妻:26,000円
長男:20,000円

合計 46,000円
13,000円 59,000円
ケース③ 妻:1,000万円
長男:1,000万円
次男:1,000万円
妻:20,000円
長男:20,000円
次男:20,000円

合計 60,000円
13,000円 73,000円
ポイント
公正証書遺言の手数料は、遺産の総額だけで計算するのではなく、 財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る財産額をもとに計算し、それぞれの手数料を合算します。 そのため、同じ3,000万円の財産でも、財産を受け取る人数や分け方によって手数料が変わります。

正本・謄本の発行、証人、出張で発生する追加費用

公正証書遺言では、原本は公証役場で保管され、遺言者には通常、正本と謄本が交付されます。
正本・謄本には用紙枚数に応じた交付費用がかかり、一般的には1枚あたり250円程度が目安です。

また、公正証書遺言の作成時には証人2人の立会いが必要であり、自分で適格な証人を用意できない場合は、公証役場や専門家に紹介を依頼して謝礼を支払うことがあります。

病気や高齢などで公証役場へ出向けず、公証人に自宅、病院、介護施設などへ来てもらう場合には、別途日当や交通費が発生します。

このような追加費用は事情により幅があるため、依頼する前にしっかりと自分の状況を把握し、見積もりを取得しておくことが大事です。

公正証書遺言を自分で作成する方法と必要書類

公正証書遺言は、遺言者本人が公証役場と直接やり取りをして作成することも可能です。
といっても、遺言者が作成するのは公正証書遺言そのものではなく、財産の渡し方などを整理した原案と必要資料です。

作成自体は、公証人が内容を確認したうえで法律上の形式に整え、遺言者と証人2人の前で遺言を読み聞かせるなどして作成します。

以下からは、作成する前に用意する必要書類と全体の流れを解説していきます。

作成前に必要な書類とは?

公証役場で公正証書遺言を作成する際に必要な書類は以下の通りです。

公正証書遺言の作成に必要な書類
① 遺言者本人の確認書類
● 印鑑登録証明書 + 実印
または
● 運転免許証・マイナンバーカードなどの顔写真付き身分証明書
↓
② 相続人との関係が分かる書類
● 戸籍謄本など
遺言者と財産を受け取る相続人との続柄を確認するために使用します。
↓
③ 相続人以外に財産を遺贈する場合
● 受遺者の住民票など
財産を受け取る人の氏名・住所などを確認するために使用します。
↓
④ 不動産がある場合
● 登記事項証明書
● 固定資産評価証明書 または 固定資産税・都市計画税納税通知書など
不動産の内容や価額を確認するために使用します。
↓
⑤ 預貯金・株式などがある場合
● 通帳のコピーや金融機関・口座が分かる資料
● 証券会社の取引残高報告書など
遺言の対象となる財産の内容や価額を確認するために使用します。
↓
⑥ 証人2人の確認資料
● 氏名・住所・生年月日・職業が分かる資料など
公正証書遺言の作成には、原則として証人2人の立会いが必要です。
※注意
必要となる書類は、遺言の内容や財産の種類、公証役場によって異なる場合があります。 実際に作成する際は、事前に利用する公証役場へ確認しましょう。

また、公正証書遺言の作成日には、遺言者の実印(印鑑登録していない場合は、認印)および証人の認印が必要です。

公証役場への予約から作成までの手順と手続き

公正証書遺言は、全国どこの公証役場でも作れます。ただ、病気などで外出が難しく、公証人に出張してもらう場合は、住んでいる都道府県内の公証役場にしか依頼できません。


また、原則として予約なしに当日作成できるものではありません。

そのため、以下では作成までの代表的な流れを解説していきます。


公正証書遺言を作成するまでの流れ
STEP 1 公証役場へ相談・予約
公正証書遺言を作成したい旨を公証役場へ連絡し、 電話やメールなどで相談・打ち合わせを行います。 遺言の内容や財産、相続人などについて公証人に伝えます。
↓
STEP 2 必要書類・資料を提出
戸籍謄本や印鑑登録証明書、不動産や預貯金などの財産が分かる資料を準備し、 公証役場へ提出します。
※必要書類は遺言の内容によって異なります
↓
STEP 3 公証人が遺言書の原案を作成
遺言者の希望や提出した資料をもとに、公証人が公正証書遺言の原案を作成します。 不明点や確認事項があれば、公証人との打ち合わせを重ねます。
↓
STEP 4 遺言書の内容を確認
公証人が作成した原案を確認します。 財産の分け方や相続させる相手などに間違いがないか確認し、 必要があれば修正を依頼します。
↓
STEP 5 作成日時を決める
原案が完成したら、公証人や証人2人と日程を調整し、 公正証書遺言を作成する日時を決めます。
↓
STEP 6 公正証書遺言を作成
作成当日は、遺言者本人と証人2人が立ち会います。 公証人が遺言の内容を確認し、遺言者と証人が署名・押印するなどの手続きを行い、 公正証書遺言が完成します。
ポイント
公正証書遺言は、最初に公証役場へ行ったその日に作成するのではなく、 事前に必要書類の提出や公証人との打ち合わせ、遺言内容の確認などを行ったうえで作成するのが一般的です。

以上の流れで作成を進めていきますが、公証役場とのやり取りや原案の作成が不安な方は、専門家への依頼をおすすめします。

証人2人の選び方|家族や相続人を指定できない理由


公正証書遺言には、遺言者の意思に基づいて作成されたことを担保するため、証人2人の立会いが必要です。
しかし、誰でも証人になれるわけではなく、未成年者や相続人・受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になれません。


たとえば、遺言で財産を受け取る子ども本人はもちろん、その配偶者や子どもも証人にできないため注意が必要です。


これは、利害関係のある人が証人になると、遺言が本人の自由な意思によるものか疑われ、相続人間の紛争を招くおそれがあるためです。


そのため、親族以外の信頼できる知人に依頼するか、専門家や公証役場から紹介された人に依頼するかで対応するようにしましょう。

自筆証書遺言との費用比較|どちらを選ぶべきか


遺言書の作成費用を抑えたい場合、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選ぶべきか迷う方は少なくありません。


自筆証書遺言は、原則として遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印して作成するため、公証人手数料等の費用がかからない点が大きな特徴です。


一方、公正証書遺言は作成時の費用こそ必要ですが、公証人が関与して形式を整え、原本も公証役場に保管されるため、紛失や形式不備による無効のリスクを抑えやすい方式です。


決める際には、費用だけではなく財産の内容や家族関係も加味したうえで、どちらの方式にするか選択しましょう。


特に不動産や複数の金融資産がある場合、相続人間で意見の対立が予想される場合は、公正証書遺言を検討する意義が大きくなります。

自筆証書遺言の詳しい内容については以下の記事で解説しておりますので、参考にしてみてください。

専門家への相談を検討すべきケース|どの専門家に依頼すべきか

公正証書遺言は自分で作成することも可能です。

しかし、特に以下のようなケースでは、専門家に依頼することでご自身の負担を大きく減らすことができます。

公正証書遺言の作成を専門家に依頼した方がよいケース
  • 相続人や財産が多く、内容が複雑な場合
  • 不動産や事業用財産など、分けにくい財産がある場合
  • 特定の相続人に多く財産を残したい場合
  • 相続人以外の人に財産を残したい場合
  • 遺言の内容や必要書類、公証役場とのやり取りに不安がある場合

また、専門家ごとに対応できる業務は異なるため、依頼する際の見極めも重要です。

争いがなければ行政書士、不動産登記まで考えるなら司法書士、紛争性があるなら弁護士といった具合に、ご自身の状況にあった専門家を選ぶようにしましょう。

公正証書遺言はどの専門家に依頼すればいい?
専門家 向いているケース 主な特徴
行政書士 遺言書の内容を整理したい人
必要書類の収集や公証役場との調整を依頼したい人
遺言書原案の作成支援や必要書類の収集、公証役場との事前調整などを依頼できる
司法書士 相続財産に不動産が多い人
将来の相続登記まで見据えて相談したい人
不動産登記の専門家であり、相続登記を含めた相談がしやすい
弁護士 相続人同士でトラブルが予想される人
遺留分など法的な争いが心配な人
相続トラブルや紛争への対応まで含めて相談できる

※どの専門家が適しているかは、遺言の内容や財産の状況、相続人同士の関係などによって異なります。

まとめ

公正証書遺言は、公証人が作成に関与するため、自筆証書遺言と比べて形式上の不備によって無効になるリスクが低く、原本が公証役場で保管されるというメリットがあります。

一方で、必要書類の準備や公証役場との打ち合わせ、証人の手配などを行う必要があります。

また、公証人手数料や遺言加算などの費用もかかってきます。

「一人で手続きを進めるのが不安」「詳細な費用を確認したい」という方は、まずは無料相談ができる事務所に気軽に相談してみることをおすすめします。

且井行政書士事務所では、遺言書作成に関するご相談を無料で承っております。
「どの方式で作成するか決まっていない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

なお、専門外の分野に関しては、提携の専門家をご紹介可能です。

3問で確認!公正証書遺言ミニクイズ

3問で確認!公正証書遺言○×クイズ
第1問 / 全3問
第1問
公正証書遺言の作成手数料は、遺産の総額だけで一律に決まる。

この記事を書いた人 Wrote this article

且井行政書士事務所

且井行政書士事務所

TOP